いきぬき或いはいきざま

オタクの話や日常のあれこれ

初めて推しの卒業を見届けた話

推しが卒業する、だと…?

いくつになっても「初めて」はあるものだ。先月私は、生まれて初めて「推しの卒業」を見届けた。 誰かしらのヲタクになって約30年、自分の好みは「しぶとい人」、もとい「意志の強い人=絶対グループを抜けない」だと分析していた自分にとっては、青天の霹靂のような出来事だったので、どう受け止めれば良いのか、自分がどんな気持ちになっていくのか、全く予想ができなかった。 これまではグループやバンドを卒業或いは脱退していくメンバーを見送ってばかりで、自分の推しがグループからいなくなるのは解散のとき、というのが当たり前だと思っていた。

11月のでんぱ組.incの配信ライブ。 アンコールでファンに向けた手紙を読む形で、我が推し、えいたそこと成瀬瑛美さん(以下、えいちゃん)は、グループからの卒業を発表した。

幼き頃からジャニヲタだった私にとって、でんぱ組.incは初めてファンになった女性アイドルグループで、えいちゃんは初めて推した女性アイドルだった。5年くらい前にふとYouTubeで動画を見て気になり出してから、自分よりずっと年下の女性アイドルを応援するのってどんな感じだろうと、恐る恐る足を踏み入れた世界だったけれど、推してみると歳も性別も関係なかったし、界隈の知らないお作法(?)も文化も面白かった。作品やパフォーマンスからはいつも元気と驚きをもらい、個性がバラバラなメンバーたちは、節々から真面目に生きているのがわかって信じられ、時には深く考えさせられることもあって、その奥深い魅力にすっかりはまっていった。メンバー全員大好きだけれど、自分と正反対の太陽のような明るさを持ち、頭の回転が速くて努力家、でも猛烈にヲタクなえいちゃんは、自分の心の形にすっとハマってキラキラな特別な存在になった。

画面の向こうにいるえいちゃんが便箋を広げて、今から卒業を発表するとわかった途端、私は1人リビングでおんおん泣いていた。 この涙の正体はなんだろう。 これからえいちゃんが追う夢は一緒に叶えるところを見たいしワクワクする。でんぱ組がなくなるわけでもない。 でんぱ組のえいちゃんを見られなくなることへの寂しさと、大きな決断をしたえいちゃんの勇気を思って涙が出たのだろうか。 とにかくこの時、私はすごく泣いてしまった。


でんぱ組.inc「ポジティブ☆ストーリー」Live Movie from「THE FAMILY TOUR 2020 ONLINE FINAL!! 〜ねぇ聞いて?宇宙を救うのはきっと……〜」

突然の「えいたそ卒マンガ」企画

卒業ライブまで1ヶ月を切った1月25日。 ライブの準備に追われているであろうでんぱ組.incの公式Twitterから、えげつない企画が発表された。 えいちゃんが描いた漫画の下書き(ネーム)を仕上げて、「#えいたそ卒マンガ」のタグを付けてTwitterにアップしよう!卒業ライブの演出に登場したり、メンバー出演のLINE LIVEで紹介されたりするかも☆というもの。 この企画、何がえげつないのかと言うと、締め切りが1週間後の1/31ということだった。

しかしどんなミッションも乗り越えるのがでんぱヲタ。 8日間で完成した「なんと!世界公認引きこもり」でも、MVの素材イラストやコーラス音源がものすごい量(しかも高クオリティ)提供されていたことも記憶に新しい。


でんぱ組.inc テレワークMV「なんと!世界公認 引きこもり!」

この実績を買われて、突然のライブ演出素材収集企画が立ち上がったのだろう。 蓋を開けると、卒業ライブではこのマンガ企画に応募された作品がたっぷりと演出に活かされていたので、またもやスタッフとヲタクの連携プレーが実を結んだことになった。

発表から2〜3日もすると、#えいたそ卒マンガのタグに完成作品が集まり始めた。 卒業前で1番忙しいであろうえいちゃん本人が、めちゃくちゃ濃度の高いマンガ原作を作ってくれたのだから、集まるのもクオリティと熱量の高い作品ばかり。私もタグを追って、いいねをしまくった。作者の愛に溢れたマンガと、更に読んだ人の反応にまたホロリとさせられたり。ヲタクがみんなでえいちゃんの卒業を盛り上げているようで、なんて素敵な企画なんだと思わずにはいられなかった。あまりの作品の集まりっぷりに、ふと「参加してみようかな?」という考えが浮かぶ。 絶対時間足りないと思って諦めていたけど、もしかして案外行けるのでは?だってできている人こんなにいるんだし。 何を隠そう私も、イラストを描くのは好きで、若かりし頃は趣味で漫画を描いていた時代もある。 平日仕事をした後の時間だけで完成させる自信はなかったが、やらない後悔より、やる後悔だとチャレンジ。

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幻の作品がこちら↓

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えいたそ卒マンガ用の幻の1ページ目

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なんか違い過ぎてやめました。(しかもこれ描くだけでも1時間以上費やしてる)

でもどうにか参加したくて、最終的に投稿したのがこちら!!

イラストじゃないんかい!もちろんライブの演出に使われないのは分かっていたし使われなかったけど、LINE LIVEでは梨紗ちゃんに拾ってもらえたので嬉しかった。ありがとう、梨紗ちゃん!

そんなこんなで2月15日

あっという間に卒業ライブ2DAYSの初日がやってきた。 仕事を早めに上がり、1人で豊洲PITに向かう。 きっと私はまた卒業発表があったあの日のように、笑顔のえいちゃんと、もしかして泣いているでんぱ組メンバーを見て、おんおん泣いてしまうんだろう。 人生で初めて推しメンバーがグループを卒業していく事実を目の当たりにして、私はどう受け止めていくんだろう。

と、思っていたけど2時間後。 最初から最後まで楽しいの気持ちで満ち溢れ、全く一粒も涙を流すことなく、1日目が終わったのだった。だってでんぱ組のライブは最高なんだもの。やっと有観客ライブをしてくれたんだもの。きっと私は、明日もあると油断していたんだろうな。

本当の卒業の日

2月16日は例年なら、えいちゃんの誕生日であることが1番のビッグイベントだけれど、今年は卒業の日。昨日のライブでひと通りのえいたそバースデーお祝いはしていたので、今日は卒業式になるだろう。それでも正直、実感は湧いていなかった。 この日は整理番号が早く、必ず入場時間にスタンバイできるように1日有給休暇を取って挑んだので、かなりステージを見やすい位置を確保できた。高まる。

そして最後の公演が始まった。 基本的には前日と同じ構成で、えいたそ卒マンガのストーリーをステージ上でなぞりながら、展開していく。 パジャマパーティーがテーマだから、それぞれがキャラクターに合っためちゃくちゃ可愛い寝巻き風の衣装で歌い、踊る。 最初と最後はお腹に赤ちゃんのいるみりんちゃんも一緒で、本編の後には新メンバーが5人も入ってびっくりしたけど安心もして、大好きで楽しいでんぱ組のライブを満喫。 えいちゃんの卒業ライブが大成功でよかった!!

満足感いっぱいに、私はひたすらにライブを楽しみ、結局最後まで涙を流すことなく推しの卒業を見届けたのだった。

そして今

今日は3月21日。あれから1ヶ月以上の月日が経った。 えいちゃんは日々SNSや動画配信で元気に頑張る姿を見せてくれながら、舞台出演や卒業後初のソロライブも決まり、新たなステージに歩み出している。そして私は、変わることなくマイペースに、えいちゃんとでんぱ組を応援している。

初めて推しが卒業したけど、もしかしたら私の場合は、そんなに変わらないのかも知れない。 どこにいたって推しは推しだから。見られなくなるものがある分、想像もできなかった新しい世界がきっとある。 そう信じさせてくれているから、楽しい気分が涙を覆ってくれた。

この人を推してよかったなあ。 心からそう思いながら、改めて

えいちゃん卒業おめでとう!